2015年度研究室旅行

9月15日(火),16日(水)に,南紀白浜へ研究室旅行に行きました.15日にはアドベンチャーワールドにて,世界一の飼育数を誇るパンダ等の動物を見学した他,イルカショーなどのイベントを鑑賞しました.16日には本学附属施設である京都大学白浜水族館を見学しました.珍しい魚を観ただけでなく,身近な魚の意外な生態を知ることができました.その後,千畳敷,円月島にて雄大な自然の構造物を目に焼き付け,とれとれ市場にて和歌山の海産物を楽しみました.

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2015年 電子情報通信学会 ソサイエティ大会

2015年9月8日〜11日に東北大学川内キャンパスで開催された電子情報通信学会ソサイエティ大会においてM1の周,B4の大石,業天,藤田,氏家,森田が発表を行いました(発表日は周,大石,業天が8日,藤田が9日,氏家,森田が10日).各発表内容は以下の通りです.

周は電荷基準モデルを用いたSiCパワーMOSFETの静特性モデリングに関する発表を行いました.電気エネルギーの利用効率を高める材料として,SiC が注目されています.SiCの特性を最大限に引き出すには,正確に模擬できるデバイスモデルを用いて回路シミュレーションを行い,回路特性を最適化する必要があります.電荷基準モデルは精度,計算速度等に優れることから,Si 集積回路の設計によく用いられています.しかし,SiCパワーデバイスは,耐圧向上やオン抵抗低減のためにデバイス構造が大きく異なります.本発表では,縦型構造を考慮した電荷基準モデルに基づくパワーMOSFET電流特性モデルを提案し,シミュレーション結果と実測結果の平均二乗誤差が0.24まで収まりました.

大石はSiCパワーMOSFET寄生ダイオードのモデリングに関する発表を行いました.近年,高効率な電力エネルギー利用の需要の高まりに伴い,SiCパワーデバイスを用いた電力変換回路が注目されています.電力変換回路の開発では,コスト削減や最適設計のために,回路シミュレーション技術が必須で,今回の研究はSi向けPN接合ダイオードモデルでSiCパワーMOSFETの寄生ダイオードのモデル化をすることを目的としました.従来のSiモデルでは正確にモデル化できない部分もありましたが,新たなモデル式を提案することにより精度を高めることができました.

業天は組合せ最適化問題をイジングモデルを用いて解く際のスピンの更新方法に関する発表を行いました.イジングモデルではスピンをエントロピーが小さくなるように更新することで解を求めることができます.しかしスピンの更新方法によっては収束しない場合がありました.本発表では最大カット問題を対象として5つの更新方法を比較し,「全体のスピンを市松模様状に二つに分け,交互に更新する場合」と「全てのスピンを同時に更新する場合」の二つを交互に行う方法が他の更新方法よりも速く収束することがわかりました.

藤田は運動時の心拍推定アルゴリズムに関する発表を行いました.運動時の心拍推定はトレーニング等に有用である一方,装置の振動によるノイズが大きいためノイズに強い心拍推定手法が必要です.そこで本発表では粒子フィルタを用いて心拍数を追跡するアルゴリズムを提案しました.粒子フィルタを用いることで複数候補での追跡が可能となります.計測の結果,既存手法よりも40%の精度改善を達成しました.

氏家は畳み込み ニューラルネットワーク(CNN)を用いた画像認識ハードウェアの低電力化に関する発表を行いました.CNNは高精度に画像認識を行える一方で, その回路実装の消費電力は大きく,回路の低電圧化が求められています.CNNの識別は個々としては影響が小さいような要素を多数用いることで行わ れており,演算構造の工夫によって低電圧化に伴う演算誤りの影響を小さくできる可能性があります.本発表では,CNNの演算構造を改良すること で,識別精度を維持しつつ回路の低電圧化が可能となることを示しました.

森田はプロセッサにおけるNBTIの緩和に関する発表を行いました.負バイアス温度不安定性(NBTI)は,プロセッサ等の回路の故障の原因となります.遺伝的アルゴリズム(GA)で選択したゲートを劣化抑止回路に置換をすることでNBTIの劣化を緩和できると報告がされていますが,従来のGAでは置換箇所を削減することは難しく,面積,電力が余分に必要になってしまいます.本発表では,何度もGAを実行しその重複箇所のみを置換箇所とすることで,少数置換を実現できると示しました.

  • 周 瑞, 新谷 道広, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “電荷基準モデルに基づく縦型SiCパワーMOSFETの電流特性モデル化の検討”, 電子情報通信学会ソサイエティ大会, A-1-1, p.1, 2015年9月.
  • 大石 一輝, 新谷 道広, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “SiCパワーMOSFET寄生ダイオードのPN接合ダイオードモデルを用いたモデル化”, 電子情報通信学会ソサイエティ大会, A-1-2, p.2, 2015年9月.
  • 業天 英範, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “二次元イジングモデルによる最大カット問題の求解における収束の速いスピン更新方法の検討”, 電子情報通信学会ソサイエティ大会, A-1-15, p.15, 2015年9月.
  • 藤田 雄也, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “粒子フィルタを用いた運動時ノイズに頑健な心拍数推定アルゴリズム”, 電子情報通信学会ソサイエティ大会, B-20-10, p.420, 2015年9月.
  • 氏家 隆之, 大荷 唯明, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “低電圧畳み込みニューラルネットワーク回路における演算誤り緩和に向けたプーリング手法の検討”, 電子情報通信学会ソサイエティ大会, A-3-8, p.53, 2015年9月.
  • 森田 俊平, 辺 松, 新谷 道広, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “プロセッサのNBTI劣化緩和法における劣化抑止制御回路の置換箇所削減に関する一検討”, 電子情報通信学会ソサイエティ大会, A-3-10, p.55, 2015年9月.
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第四回TIAパワーエレクトロニクス・サマースクール

2015年8月28日(金)〜31日(月)に産業技術総合研究所にて第四回TIAパワーエレクトロニクス・サマースクールが開催され,本研究室から新谷,周,大石が参加しました.本スクールではパワーエレクトロニクス技術についての体系的な講義や,パワーエレクトロニクス関連計測技術の実習が行われました.初日には所属研究室の紹介や自身の研究内容についてポスター発表を行い,学生,若手の技術者と研究者を交えた交流会が行われました.

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VDECデザイナーズフォーラム2015

2015年8月28,29日に石川県加賀市山代温泉で開催されたVDECデザイナーズフォーラム2015のPh.D.企画セッションにて,本研究室の粟野が学生幹事を担当いたしました.今年度は「ぼくのかんがえたさいきょうのけんきゅうしつ」というタイトルで,博士課程の学生が研究室を主宰する立場になったら,どんな研究室を作っていきたいか,という内容についてパネル討論を行いました.先生方からも様々な意見を頂くことが出来,有意義な議論の場にすることができました.

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DAシンポジウム2015

2015年8月26〜28日に石川県加賀市山代温泉で開催されたDAシンポジウム2015において,D3の粟野とM1の辺が発表を行いました (発表日はいずれも8月28日).また,27日に行われたアルゴリズムデザインコンテストにB4の藤田,業天が出場し,ナンバーリンクパズルの解法と速度を競いました.

粟野の発表概要は以下のとおりです:
集積回路の微細化に伴い,特性ばらつきの増加・経年劣化の増大が問題視されています.集積回路を構成するSRAMやフリップ・フロップといった要素回路には極めて高い信頼性が要求されるため,特性ばらつきや劣化が回路の信頼性(不良確率)に与える影響を事前に見積もるための技術が重要性を増してきています.粟野の発表では,単一のモンテカルロ解析のみで,経年劣化によって時間変化する不良確率の推定を可能としました.従来であれば,チップが製造されてから1年,2年,…,10年と時間を変えて解析する必要があり,解析時間の増大が問題でした.数値実験により,提案手法は,独立に不良確率を解析する場合と比較して10倍程度の高速化が可能であることを示しました.

辺の発表は,大規模回路におけるNBTI劣化の推定手法に関するものです.半導体製造技術の進展に伴う負の側面として,トランジスタにおける負バ イアス温度不安 定性(NBTI)などの経年劣化が顕在化しており,プロセッサに代表される論理回路の信頼性と性能が劣化する問題が生じています.本発表では,三次元Lookup Table (LUT) を用いて,精度を保ちつつ回路の遅延時間を高速に計算する手法を提案しました.数値実験により,回路シミュレータを用いる場合に比べ,最大13%程度の誤差で約4000倍の高速化が可能であることを示しました.

  • 粟野 皓光, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “デバイス特性の経年劣化に起因する不良確率変化の効率的な解析手法”, 情報処理学会DAシンポジウム2015, pp.169-174, 2015年8月.
  • Song Bian, Michihiro Shintani, Masayuki Hiromoto, and Takashi Sato:
    “Fast Estimation on NBTI-Induced Delay Degradation Based on Signal Probability,” 情報処理学会DAシンポジウム2015, pp.181-186, Aug. 2015.
  • 藤田 雄也, 業天 英範, 氏家 隆之, 大石 一輝, 森田 俊平:
    “ヒューリスティックな経路削減に基づく深さ優先探索ナンバーリンクソルバ”, 情報処理学会DAシンポジウム2015 アルゴリズムデザインコテスト, 2015年8月.
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SLDM研究会 優秀論文賞・最優秀発表学生賞 受賞

8/26〜28に開催されたDAシンポジウム2015にて,卒業生の佐川氏が「システムとLSIの設計技術研究会 優秀論文賞」を受賞しました (共著の立命館大学 越智先生が代理受賞).またD3の粟野が「DAシンポジウム2014 最優秀発表学生賞・優秀発表学生賞」を受賞しました.

  • 佐川 善彦, 廣本 正之, 佐藤 高史, 越智 裕之:
    “低電圧起動回路を用いた省電力チップ間非接触通信回路”, 情報処理学会研究報告 (於 北九州国際会議場), Vol.2014-SLDM-166, No.10, pp.1-6, 2014年5月.
  • 粟野 皓光, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “3996トランジスタにおけるNBTI劣化の統計的ばらつき”, 情報処理学会DAシンポジウム2014 (於 岐阜県下呂市 ホテル下呂温泉水明館), pp.3-8, 2014年8月.
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京都大学オープンキャンパス2015 工学部・電気電子工学科

2015年8月6日(木)〜8日(土)に京都大学オープンキャンパス2015が開催されました.本研究室では8日(土)に研究室見学を実施し,研究内容の紹介や実験機器を用いたデモ等を行いました.

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第28回 回路とシステムワークショップ@淡路島夢舞台国際会議場

2015年8月3日~4日に淡路島で開催された第28回 回路とシステムワークショップにてM1の小西,大荷が研究発表を行いました.

小西の発表は圧縮センシングを用いたイメージセンサ回路に関するものです.圧縮センシングとはデータの取得と圧縮を同時に行う方法で,イメージセンサに用いるとサンプリング回数を画素数より少なくすることができ,エネルギーの削減が可能です.そのため,電力制限の厳しい無線センサネットワーク等の状況下で低電力な画像取得の方法として期待されています.本発表では,イメージセンサの圧縮センシング処理におけるオーバーヘッドを小さくする回路を提案し,処理時間の短縮を行いました.本提案により同画質の画像の取得に要するエネルギーの削減が期待できます.

大荷はニューラルネットワークを用いた画像認識ハードウェアの低電力化に関する発表を行いました.携帯電話やデジタルカメラなどでの顔認証や,大規模な画像検索サーバ等,画像認識が行われる機会が増えており,それを行うハードウェアの低電力化が必要となっています.また,ニューラルネットワークを用いた画像認識が近年高い識別精度を記録し,注目されています.ニューラルネットワークは,多層のネットワーク構造を用いて画像を識別するものであり,低電圧動作によってネットワークの一部で演算誤りが起こったとしても正しい識別が行える可能性があります.本発表ではこの特徴に注目し,演算誤りが識別精度に与える影響を少なくするような識別アルゴリズムを提案しました.シミュレーションの結果,従来の手法と比べ10%低い電圧において,同等の識別精度を保つことができました.

また,教員の佐藤も「ばらつき考慮シミュレーションの最近の動向」と題する招待講演を行いました.

  • 小西 慧, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “圧縮センシング向けイメージセンサにおける省電力な観測行列生成回路”, 第28回 回路とシステムワークショップ, pp.243-248, 2015年8月.
  • 大荷 唯明, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “ニューラルネットワークハードウェアの低電圧動作時における演算誤り緩和”, 第28回 回路とシステムワークショップ, pp.249-254, 2015年8月.
  • 佐藤 高史:
    “(招待) ばらつき考慮シミュレーションの最近の動向”, 第28回 回路とシステムワークショップ, pp.19-24, 2015年8月.
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第27回 回路とシステムワークショップ 奨励賞 受賞

第28回 回路とシステムワークショップにて卒業生の木村氏が前回の同ワークショップでの以下の発表に関して『第27回 回路とシステムワークショップ 奨励賞』を受賞しました.

  • 木村 和紀, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “高次元回路歩留まり解析高速化のための最急降下法を用いた不良領域探索”, 第27回 回路とシステムワークショップ (於 淡路夢舞台国際会議場), pp.229-234, 2014年8月.
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松阪高校 研究室見学会

電気電子工学科における高大連携活動の一環として,7/21(火)に三重県立松阪高校の学生が本研究室の見学に訪れました.LSI設計技術等についての研究紹介を行った後,プログラミングによるドローンの自動操縦を体験してもらいました.参加した高校生は初めて目にするドローンの実物やパソコンによるプログラミングに興味津々で,積極的に課題に取り組んでもらうことができました.集積回路や組込み機器,プログラミングといった情報回路技術に,楽しみながら触れられる良い機会になったのではと思います.

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