2020年9月7〜9日に開催されたDAシンポジウム2020において,M2の大島が研究発表を行いました (発表日は9日)
大島の発表は,n型有機薄膜トランジスタのバイアス・ストレス劣化における物理メカニズムの評価を行うものです.有機薄膜トランジスタは軽量・柔軟といった特徴を持ち,基板の選択肢が比較的広いことから柔軟な回路や大面積回路の実用化に向けた研究が盛んに行われています.しかし,これまでの研究からn型有機薄膜トランジスタは数時間の電圧印加で動作困難となることがわかっており,CMOS論理回路などの幅広い回路システムの実現に向けて,n型有機薄膜トランジスタのバイアス・ストレス劣化の物理メカニズムの特定及び劣化の抑制は重要です.本発表では,n型有機薄膜トランジスタの特性パラメータとして電気伝導に寄与する電子の密度としきい値電圧に着目し,これらの特性パラメータのストレス電圧印加に伴う変動が半導体起因で発生するのか,絶縁膜起因で発生するのかを実測に基づき評価する方法を提案し,実際に評価を行いました.実験結果により,n型有機薄膜トランジスタの急激なバイアス・ストレス劣化は,絶縁膜における電子捕獲により進行することが示されました.
- 大島 國弘, 栗原 一徳, 辺 松, 佐藤 高史, “n型有機薄膜トランジスタにおけるバイアス・ストレス特性変動物理メカニズムの実験的評価,” DA シンポジウム, pp.127-132, 2020年8月.