SASIMI2019

2019年10月21日〜10月22日に台湾台南市で開催されたThe 22nd Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information Technologies (SASIMI2019)にて,本研究室M1の小野,大島,久米がポスター発表を行いました(発表日は小野が21日,大島,久米が22日).各発表の内容は以下の通りです.

小野の発表は,耐量子暗号プロトコル向けモジュロ乗算器アーキテクチャの性能向上についての提案です.量子コンピュータの発展により,量子コンピューティングへの耐性を持った暗号の実用化が必要とされており,小型デバイスに対しては暗号機能の低電力な実装が求められています.本発表では,既存のASIC上のアーキテクチャをベースとし,出力部の2つの剰余演算回路を取り除いて入力部に1つだけ代わりに追加することで,同等の機能を実現しつつ回路規模と演算ステップ数の双方が削減されたアーキテクチャを提案しました.論理合成ツールを用いて性能の評価を行い,遅延時間,面積,消費電力の全てについて既存のものより良い性能を得られることを示しました.

大島の発表は,デジタル回路における継時劣化を感知するためのセンサの提案です.CMOS論理回路は,回路の動作に伴い信号伝搬遅延が増加するため,誤動作発生までの回路の残り寿命を推定するセンサが必要とされています.本発表では,遅延の大きい信号経路のpMOSFETの劣化が信号伝搬遅延に大きく相関することに着目し,それらのpMOSFETのレプリカを回路内に作成して,劣化によるレプリカの電流変化を感知することにより信号伝搬遅延の増加を推定する手法を提案しました.数値実験により,レプリカの劣化を十分なセンサ出力の変化として観測できること,回路に与える入力信号に大きく依存する遅延劣化を反映した推定が可能であることを示しました.

久米の発表は、Recurrent Neural Networkの一種であるEcho State Network (ESN)のハードウェア実装に関する提案です。入力を受け取る入力層及び再帰構造を持つ中間層を総称してreservoirと呼び、ESNではreservoirで用いられる重みは学習を必要とせず、ランダムな固定値が用られます。本発表では、この性質がハードウェア実装に適していることに着目し、MOSFETを用いたクロスバアレイ回路による重みの表現手法、再起構造による収束性に寄与するパラメータの設定手法、及び精度向上のためのESN全体のアーキテクチャを提案しました。回路シミュレーターによる実験により、正常に動作することと、高い精度の推論が可能であることを示しました。

  • Tatsuki Ono, Song Bian, Takashi Sato, “Improved Multiplier Architecture on ASIC for RLWE-based Key Exchange,” in Proc. the 22nd Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information Technologies (SASIMI2019) (Shangri-La’s Far Eastern Plaza Hotel, Tainan, Taiwan), pp.39-40, October 2019.
  • Kunihiro Oshima. Song Bian, Takashi Sato, “Estimation of NBTI-Induced Timing Degradation Considering Duty Ratio,” in Proc. the 22nd Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information Technologies (SASIMI2019) (Shangri-La’s Far Eastern Plaza Hotel, Tainan, Taiwan), pp.330-335, October 2019.
  • Yuki Kume, Masayuki Hiromoto, Takashi Sato, “A Tuning-Free Reservoir of MOSFET Crossbar Array for Inexpensive Hardware Realization of Echo State Network”, in Proc. the 22nd Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information Technologies (SASIMI2019) (Shangri-La’s Far Eastern Plaza Hotel, Tainan, Taiwan), pp.324-349, October 2019.
カテゴリー: Conference/Workshop タグ: , , , パーマリンク