DAC2019

2019年6月2日~6月6日に米国ネバダ州ラスベガス市で開催されたThe 56th ACM/IEEE Design Automation Conference (DAC) 2019 にて本研究室の辺が研究発表を行いました (発表日は6月5日).本会議は,集積回路設計におけるトップ会議であり,今年も世界中から多数の参加者がありました.

辺の発表は,量子安全暗号(Post-Quantum Cryptography, PQC)のハードウェア実装に関するものです.アメリカ国立標準技術研究所は2016年からPQCの標準化に向けて暗号システムの設計を呼びかけ,Learning with Errors (LWE)問題に基づく鍵交換方式であるFrodoと,LWE問題の亜種であるRing LWE (RLWE)に基づくNewHopeが,安全性と効率面で優れた有力な標準候補となっています.FrodoとNewhopeに対しては,これまでにCPUやFPGAによる実装が複数提案されていますが,ASICによる設計がないことから効率の良いLWE鍵交換に向けたASIC乗算器の設計を提案しました.LWEはセキュリティが高く,一方RLWEは圧倒的にエネルギ効率が高いことが認識されていましたが,提案のASIC乗算器を用いれば,LWEもRLWEと同等のエネルギ効率が実現できることを示しました.これによりLWEはPQC候補としてさらなる可能性を持つことが分かりました.

  • Song Bian, Masayuki Hiromoto and Takashi Sato, “Filianore: Better multiplier architectures for LWE-based post-quantum key exchange,” in Proc. ACM/IEEE Design Automation Conference (DAC), pp.52.4:1-52.4:6, June 2019.
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