2019年3月18日~21日に北九州市で開催された International Conference on Microelectronic Test Structures (ICMTS) 2019 にて,B4の塚本とM2の齋藤が研究発表を行いました (発表日は塚本: 20日, 齋藤:21日).
塚本の発表は主成分分析によるパワーMOSFETの統計的パラメータ解析です.パワー MOSFETは電力変換器の主要な構成要素として用いられていますが,製造に起因する特性のばらつきがあります.この特性ばらつきをよく説明できる主要なモデルパラメータを特定することで性能予測がより正確となり,回路の最適化の精度を高めることができます.集積回路用デバイスに対して行われた研究を参考に,多数のパワーMOSFETの測定結果に対して主成分分析を用いた統計的手法を適用し,主要なモデルパラメータの順位付けを行いました.その結果,デバイスの特性ばらつきは比較的少数のモデルパラメータで表現可能であること,特に,デバイスのしきい値ばらつきと電流のスケーリングファクター(移動度)の寄与が大きいという結果を得ました.
齊藤の研究は有機薄膜トランジスタ(OTFT)の電流特性の環境劣化モデルに関するものです.OTFTは柔軟な基板上に製造できる等の利点を持つ一方で,特性劣化が比較的速いことが知られており,OTFTを用いた回路設計においてこの劣化を見積もることは重要な課題とされています.本研究では複数のパラメータの経時的な変動を記述することができる汎用性の高いモデル式を提案しました.実デバイスの測定結果を用いた比較によって,提案モデルを用いることで既存の特性劣化モデルよりも正確に特性劣化を表現できることを示しました.
- Hiroki Tsukamoto, Michihiro Shintani, and Takashi Sato, “Study on statistical parameter extraction of power MOSFET model by principal component analysis,” in Proc. IEEE International Conference on Microelectronic Test Structures (ICMTS), pp.107-112, March 2019.
- Michiaki Saito, Michihiro Shintani, Kazunori Kuribara, Yasuhiro Ogasahara, and Takashi Sato, “A compact model of I-V characteristic degradation for organic thin film transistors,” in Proc. IEEE International Conference on Microelectronic Test Structures (ICMTS), pp.194-199, March 2019.