2018年10月31日~11月3日に青島市(中国)で開催されたInternational Conference on Solid-State and Integrated Circuit Technology (ICSICT)にて齊藤とQinが研究発表を行いました。また佐藤が招待講演を行いました (発表日はいずれも11月1日)。
Qinの発表は有機トランジスタを用いたPUF回路の設計についてです。PUF回路はデバイスの製造上のばらつきを利用した認証を実現する回路です。また、有機トランジスタが柔軟な基板の上で製造できることなどの特長を生かし、フレキシブルかつ複製困難なタグを実現を目指しています。本発表では、電流を利用する電流モードのArbiter PUFであるCMA-PUFを提案しました。提案回路は、使用トランジスタ数の少ないシンプルな構造であることから、まだ発展中で特性変動の大きい有機トランジスタを用いても安定した動作が期待できます。シミュレーションにより、提案回路は既存回路である遅延モードのArbiter PUFとほぼ同じ性能を達成し、回路面積を52%低減できることを確認しました。
齊藤の発表は有機薄膜トランジスタ(oTFT)の時間劣化に関するものです。oTFTはその特徴からウェアラブルデバイスなどへの応用に期待が寄せられる一方、Si MOSFETと比較して寿命が短いという特徴を持っておりその寿命を見積もることは回路設計において非常に重要な課題となっています。本研究では、単体oTFTとoTFTを用いた回路の時間経過による特性変化を測定、調査するとともに、単体oTFTの測定から得られた特性を用いることで、測定された回路の特性変化と同様の変化傾向をシミュレーションできることを確認しました。
以上二つの発表は、産総研、奈良先端大との共同研究です.
佐藤の招待講演は、パワーデバイスの容量特性測定に関するものです。電力変換効率への影響が大きい入力容量を、スイッチングベースで求める試みについて、これまでの研究成果を報告しました。
- Zhaoxing Qin, Michihiro Shintani, Kazunori Kuribara, Yasuhiro Ogasahara, and Takashi Sato, “An experimental design of robust current-mode arbiter PUF using organic thin film transistors,” in Proc. IEEE International Conference on Solid-State and Integrated Circuit Technology (ICSICT), pp.1-6, November 2018.
- Michiaki Saito, Michihiro Shintani, Kazunori Kuribara, Yasuhiro Ogasahara, and Takashi Sato, “Measurement and modeling of frequency degradation of an oTFT ring oscillator,” in Proc. IEEE International Conference on Solid-State and Integrated Circuit Technology (ICSICT), pp.1-6, November 2018.
- Takashi Sato, “A transient approach for input capacitance characterization of power devices (invited),” in Proc. IEEE International Conference on Solid-State and Integrated Circuit Technology (ICSICT), pp.1-6, November 2018.