2018年6月25日~28日に米国カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催されたThe 55th ACM/IEEE Design Automation Conference (DAC) 2018 にて本研究室の辺が研究発表を行いました (発表日は6月26日).本会議は,集積回路設計におけるトップ会議であり,毎年,世界中から多数の参加者があります.
辺の発表は,Approximate Computing (近似計算)を用いてLearning with Errors (LWE)復号におけるハードウェアリソースを削減するものです.近年,量子コンピュータに対しても安全とされているLWEに基づいた暗号方式が注目されています.LWE暗号における復号は、公開されるベクトルcと秘密鍵sの内積を取ることで計算できますが,元々cに含まれたエラーを吸収するため,復号手法は設計上,一定のエラーを許容できるようになっています.本発表では,復号失敗率に影響を与えない範囲で,元々のlog qビットよりも小さいkビットの精度を選び内積を近似計算することで,復号回路を簡略化する手法を提案しています.数値実験により,提案手法を用いてLP暗号方式を実装した結果,復号回路の遅延を23%,面積を約50%,電力を21%,そして復号側に送られる暗号文サイズを27%,同時に削減できることを示しています.(採択率 21%=158/747)
- Song Bian, Masayuki Hiromoto, and Takashi Sato:
“DWE: Decrypting learning with errors with errors,” in Proc. of ACM/IEEE Design Automation Conference (DAC) (San Francisco, CA, USA), pp.10.3:1-10.3:6, June 2018.