情報処理学会 SLDM研究会

2014年5月28〜29日に北九州国際会議場で開催された情報処理学会システムとLSIの設計技術研究会(SLDM)にて,本研究室の岡崎,佐川が発表を行いました(発表日は5月29日).また同会場にて5月26〜28日に開催されたLSIとシステムのワークショップにも参加し,当分野の技術動向について情報収集を行いました.

岡崎の発表は,集積回路内における電源電圧降下の解析手法に関するものです.乱数を用いて電圧分布を計算するランダムウォーク法について,高速化にむけた節点解析順序の検討を行っています.近年,大規模化が進む集積回路の性能や信頼性を保証するためには,電圧降下の解析が必須となっています.電圧降下解析手法を高速化することで,より大規模な集積回路を高信頼に設計できるようになります.本発表では,解析時間に影響を与える節点の解析順序について,定性的に高速化が期待できる複数の解析順序を挙げています.それらについて実験を行い,ランダムな解析順が妥当であることを評価しています.

佐川の発表は,チップ間非接触通信の長距離化,省電力化を可能とする手法に関するものです.チップ間非接触通信の中でも長距離の通信が可能な電磁波通信手法を省電力化する手法の検討を行なっています.集積回路の配線距離の短縮化や三次元積層チップのビアコスト削減,その他チップ間通信を必要とするアプリケーションの実現が可能となります.本発表では,電磁波通信手法において,低電圧入力を検知可能な起動回路を用いた受信回路の動作管理,オートゼロ機構による省消費電力増幅回路を提案しています.これらによって一般的な手法よりも通信時・待機時の消費電力の削減が期待されます.

  • 岡崎 剛, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “ランダムウォーク電源網解析の高速化に向けた節点解析順序の検討”, 情報処理学会研究報告 (於 北九州国際会議場), Vol.2014-SLDM-166, No.9, pp.1-6, 2014年5月.
  • 佐川 善彦, 廣本 正之, 佐藤 高史, 越智 裕之:
    “低電圧起動回路を用いた省電力チップ間非接触通信回路”, 情報処理学会研究報告 (於 北九州国際会議場), Vol.2014-SLDM-166, No.10, pp.1-6, 2014年5月.
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