2013年6月30日~3日に韓国の麗水で開催された ITC-CSCC 2013 にて,本研究室の今川と張が発表を行いました(発表日は両名とも7月1日).
今川の発表は,記憶メディアのデータを低消費電力で読み出す回路に関するものです.低消費電力性が求められるセンサネット用回路や、文化財等の貴重なデータを数百年以上の長期に渡って記録・保存する恒久保存メディア等への応用が期待されます.この論文では,データの読出し時に動作する領域を小さく分割して同時に動作する回路を最小化し,これらを逐次的に駆動する機構を組み込むことで,電力を大幅に削減する回路を提案しています.
張の発表は,回路の動作タイミングを高精度に計算する方法を与えるもので,携帯機器など低電源電圧で長時間の動作が求められる回路の実現への応用が期待されます.論文では,ヒストグラム伝搬型の統計的静的タイミング解析において解析精度を決定づける,分岐再収斂経路の近似的処理方法を提案しています.分散伝搬に基づいて,各分岐節点が回路全体のタイミングに与える影響を高速に評価することにより,重要な分岐節点の選択を可能とします.提案手法で選んだ重要分岐節点を考慮することで,タイミング分布の分散の誤差を1.87%に抑えつつ,処理時間をモンテカルロ法の1/19に短縮しています.
- Shinya Matsuda, Takashi Imagawa, Hiroshi Tsutsui, Takashi Sato, Yukihiro Nakamura, and Hiroyuki Ochi, “Architecture for Sealed Wafer-Scale Mask ROM for Long-Term Digital Data Preservation,” The 28th International Technical Conference on Circuits/Systems, Computers and Communications (ITC-CSCC) (Yeosu, Korea), pp.274-277, June 2013.
- Shiyi Zhang, Hiroshi Tsutsui, Hiroyuki Ochi, and Takashi Sato, “Histogram Propagation Based Statistical Timing Analysis using Dependent Node Selection,” The 28th International Technical Conference on Circuits/Systems, Computers and Communications (ITC-CSCC) (Yeosu, Korea), pp.321-324, June 2013.