第26回 回路とシステムワークショップ@淡路島夢舞台国際会議場

2013年7月29日~30日に淡路島で開催された第26回 回路とシステムワークショップにて,本研究室の M2 木村,藤田,および M1 岡崎が発表を行いました(発表日はいずれも7月30日).

木村の発表は,回路特性のばらつきを考慮したシミュレーション手法に関するものです.半導体プロセスの微細化により今後ますます,回路の特性ばらつきによる動作不良が問題となります.この論文では,回路の歩留まりを高速に解析する手法と,回路の最も起りやすい不良に着目してノイズマージンを解析する手法を取りあげ,SRAM 回路を例にして 2 つの手法による結果を比較しています.比較により,ノイズマージンを指標にした設計は,必要以上に回路設計を難しくしている事がわかりました.今後より大規模な回路を解析することを目標とし,高速かつ高精度な歩留まり解析手法について研究を進めていきます.

藤田の発表は,圧縮センシングによる画像圧縮において必要なデータ量を圧縮時に推定するものです.圧縮センシングはデータの取得と同時にデータの圧縮を可能にする手法であり,イメージセンサに応用することでサンプリングの回数を画素数より少なくする事が可能となります.本発表ではデータの取得と同時にブロックごとのサンプリング回数を推定する手法を提案し,より少ないサンプリング回数で従来手法と同等の画質を得る事ができることを示しました.本提案により,イメージセンサのさらなる低電力化が期待されます.

岡崎の発表では,LSI 内部の電源電圧分布を乱数により解くランダムウォークによる電圧降下解析を高速化する方法を提案しています.ますます大規模化する LSI の性能と信頼性を設計時に保証するため,電圧降下の解析が不可欠となっています.電圧降下解析を高速化することにより,より大規模な LSI をより高信頼に設計できるようになります.本発表では,並列性が高い準ゼロ分散ランダムウォーク法の収束を,誤差を平滑化処理により一層速める手法を提案しています.提案手法をスレッド並列実装し,並列実行環境下での効果を評価しています.

  • 木村 和紀, 筒井 弘, 越智 裕之, 佐藤 高史, “SRAM 回路解析における最小ノルム不良サンプルと歩留まりの関係,” 第26回 回路とシステムワークショップ (於 淡路夢舞台国際会議場), pp.374-379, 2013年7月.
  • 藤田 隆史, 筒井 弘, 越智 裕之, 佐藤 高史, “画像の圧縮センシングにおける画像内圧縮率の適応的変更手法,” 第26回 回路とシステムワークショップ (於 淡路夢舞台国際会議場), pp.397-402, 2013年7月.
  • 岡崎 剛, 筒井 弘, 越智 裕之, 佐藤 高史, “準ゼロ分散推定と誤差平滑化処理を併用するランダムウォーク電源網解析,” 第26回 回路とシステムワークショップ (於 淡路夢舞台国際会議場), pp.472-477, 2013年7月.
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