研究室紹介

佐藤高史研究室

京都大学 大学院情報学研究科
通信情報システム専攻 集積システム工学講座 情報回路方式分野
(京都大学 工学部 電気電子工学科)

Processor Architecture and Systems Synthesis, Integrated Systems Engineering
Department of Communications and Computer Engineering
Graduate School of Informatics, Kyoto University
(School of Electrical and Electronic Engineering, Faculty of Engineering, Kyoto University)

本研究室では、LSIの構成(どんな要素回路をどう組み合せたらよいか)と設計技術(どうしたら効率よく設計できるか)について研究しています。優れたLSIのアーキテクチャ設計は通信・情報システムの飛躍的な性能向上などを実現し、世の中に大きなインパクトを与えます。また、どの研究テーマでも、「実践的・実証的に」をモットーに、FPGAやLSIチップ試作製造サービスを利用して、市販のシステムに組み込まれているLSIと同様の回路を実際に設計しながら研究しています。LSIチップの性能測定や、GPUを用いた計算処理の高速化など、テーマごとに様々な技術を身に付け、貴重な経験を積むこともできます。

超高集積・超可用性を保証する回路設計技術: 数十億トランジスタからなる大規模回路、数10ナノメータといった微細な素子、数100mVといった極限的低電圧動作時などの振る舞いをモデル化し解析するための数理統計的手法、回路構成手法、および設計手法について研究しています。最近では、大規模電源網を効率よく解析する統計的シミュレーション技術、NBTIなどの特性劣化現象の仕組み明らかにする測定技術、回路特性をモニタして安定動作に役立てるセンサ回路、製造歩留りを見積もるための統計的遅延解析技術、製造したチップの動作保証に欠かせないテスト技術等で成果をあげています。これらにより、家電製品や携帯情報機器はもとより、自動車、ロボットや医療等の応用分野で要求される、高性能と高信頼性の両立を可能にします。

超低消費エネルギーシステム:  安心安全でより豊かな社会生活を実現する技術として、環境等をモニタリングするためのセンサならびにセンサネットワークが注目を集めています。このような機器では限られた電源のもと長い期間動作することが求められます。本研究室ではサブスレッショルド回路と呼ばれる非常に低い電源電圧で動作し超低消費電力を実現する回路に関する設計技術の研究を進めるとともに、LSI駆動に適した太陽電池等の小型発電デバイスとその効率化に関する研究を行っています。

リコンフィギャラブルシステム: リコンフィギャラブルシステムとは、機能の「書き換え」が可能な回路を用いたシステムであり、プロセッサ並みの柔軟性と、専用ハードウェアエンジンに匹敵する高速性の両立を狙ったものです。本研究室では、回路動作中に自分で自分の機能を書き換える動的自己再構成アーキテクチャをはじめ、様々なリコンフィギャラブルデバイスのアーキテクチャ(演算器の機能やその粒度、配線資源、再構成方式等)と、そのための設計手法を含む応用技術について研究しています。宇宙等でのリコンフィギャラブルデバイスの利用に不可欠な高信頼化に関する研究も行っています。

集積回路応用システム(画像処理): 上の基盤技術を発展的に適用する応用システムとして、各種画像処理の並列実装ならびにLSI開発を行っています。画像処理では一般に取り扱う情報量が膨大であるため、LSIを含むシステム構築においてハードウェア/ソフトウェアを組み合わせたシステム全体としての最適化(処理速度、ハードウェア規模、消費電力等)が必要不可欠となります。本研究室では、各種画像処理に関してそのアリゴリズムと実装の相補的な検討を進めるとともに、画像処理システムの効率的な構成手法に関する研究を行っています。企業との共同開発を通じて、画像処理LSIとして製品化された成果もあります。