2017年 電子情報通信学会 総合大会

2017年3月22~25日に名城大学 天白キャンパスで開催された電子情報通信学会総合大会にて,助教の廣本,M1の藤田,業天が研究成果の発表を行いました (藤田の発表日は22日,廣本,業天は24日).

藤田の発表は,カメラの動画を用いた心拍間隔推定に関するものです.心拍間隔の変動量は様々な疾病やストレス等の指標とされており,心拍間隔を推定することで疾病の検知や予防に役立てることができます.そこで本研究ではカメラの動画像を用いて非接触で心拍間隔の推定を行うことに焦点を当てました.しかし,カメラで得られた脈波信号にはノイズが乗りやすく単純に脈波のピークの間隔を求めると精度が低下する問題がありました.そこで我々は脈波の時間的な相関から心拍間隔を推定する手法を提案し,それによって精度よく心拍間隔が推定できることを示しました.

廣本と業天の発表は,イジングモデルを用いた組合せ最適化問題の高速求解手法に関するものです.イジングモデルとは磁性体の振舞いを模擬した数理モデルであり,組合せ最適化問題の近似解を高速に求めることが可能な次世代の計算機技術として注目されています.
廣本の発表(第一著者は岡本)では,上記イジングモデルをソフトウェアにより実装し,最大カット問題の求解性能を評価しました.その結果,既存の組合せ最適化問題のソルバと同等の解を,およそ10000倍高速に求められることが分かりました.本成果は研究室インターンを通じ守倉研究室の岡本君との共同研究によるものです.
また,業天の発表ではイジングモデルソルバのFPGA実装と,それに適応可能な解の収束性を向上させるいくつかの手法を提案しました.FPGA実装によりソフトウェアからさらに100倍の高速化を達成し,提案手法により最大カット問題を解いた際に最適解の98.5%程度の解を得られることを確認しました.

  • 藤田 雄也, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “手の動画像からの心拍間隔推定に関する一検討”, 電子情報通信学会総合大会 通信講演論文集, B-20-13, p.555, 2017年3月.
  • 岡本 浩尚, 業天 英範, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “イジングモデルのソフトウェア実装による最大カット問題の求解性能評価”, 電子情報通信学会総合大会 基礎・境界講演論文集, A-1-25, p.25, 2017年3月.
  • 業天 英範, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “イジングモデルのFPGA実装とそれを用いたスピン更新方法の検討”, 電子情報通信学会総合大会 基礎・境界講演論文集, A-1-26, p.26, 2017年3月.
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