ACM/IEEE ASPDAC 2017

ASP-DAC2017にて、研究室から2件の発表を行いました。いずれも、集積回路やそれを用いるシステムの信頼性向上に役立つ技術です。

粟野氏の論文は、集積回路の経時的な故障確率の変化を効率よく求めるための技術を提案しています。微細化によって、回路を構成するトランジスタは個々に特性が異なる「ばらつき」を持ちます。このため、回路はそれぞれ寿命が異なります。さらに、トランジスタの劣化による経時的な特性変動が重畳されるため、回路が動作可能な寿命を正確に計算することは、重要かつ困難な課題となっています。本研究では、経時的な特性変動をばらつき変数の一つとみなすことで、回路の使用時間に伴う故障率の変化をモンテカルロシミュレーションの一種であるサブセットシミュレーションにより解析する方法を与えています。

Chen氏の論文は、プロセッサなどの回路動作に伴う過度な電源電圧降下を予測する方法について提案しています。従来は、電圧センサ等を回路内に配置し、その出力をモニタすることで電圧降下の対策が取られてきました。しかし、あくまで電圧降下の観測であって予測ではないため、大きな電圧降下が検出されてもその対策が時間的に間に合わないこと、また、回路面積が大きく多数の配置ができないこと、等の課題がありました。本研究では、回路内のフリップフロップの動作を観測することで、次時刻における電圧降下を予測する方法を与えています。本研究は、台湾国立清華大学、米国ノートルダム大学との国際共同研究の成果です。

  • Hiromitsu Awano, Masayuki Hiromoto, and Takashi Sato, “Efficient circuit failure probability calculation along product lifetime considering device aging,” in Proc. IEEE/ACM Asia and South Pacific Design Automation Conference (ASPDAC), pp.93-98, January 2017.
  • Yu-Guang Chen, Michihiro Shintani, Takashi Sato, Yiyu Shi, and Shih-Chieh Chang, “Pattern based runtime voltage emergency prediction: an instruction-aware block sparse compressed sensing approach,” in Proc. IEEE/ACM Asia and South Pacific Design Automation Conference (ASPDAC), pp.543-548, January 2017.
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