2015年3月VLD研究会

2015年3月2〜4日に沖縄県青年会館で開催された電子情報通信学会VLSI設計技術研究会(VLD)にて,研究生の辺とB4の吉永が発表を行いました(発表日は辺が3日,吉永が4日).

辺の発表は,プロセッサにおけるNBTI緩和手法に関するものです.半導体製造技術の進展に伴う負の側面として,トランジスタにおける負バイアス温度不安定性(NBTI)などの経年劣化が顕在化しており,プロセッサに代表される論理回路の信頼性と性能が劣化する問題が生じています.本発表では,経年劣化抑止ゲートを用いたプロセッサの経年劣化緩和手法を提案しました.クリティカルパス上の論理ゲートに対し,一定の論理に留まる確率を削減することでNBTI劣化を緩和します.数値実験により,設計マージンが12.5%削減され,寿命が約5倍延長されたことが確認されました.

吉永の発表は,Physical Unclonable Function(PUF)に関するものです. PUFとはデバイス特性のばらつきを利用した関数のことで,チップ毎に固有の”指紋”として機能することからセキュリティ分野における応用が期待されています.トランジスタのランダムテレグラフノイズ(RTN)の時定数は幅広い分布に従ってばらつくことが報告されており,PUFに利用することで優れた一意性を発揮できることが期待できます.本発表では,RTNによってリング発振器の発振周波数が単位時間あたりに変動する回数を比較する手法を提案しています.これについて実験を行い,既存のPUFよりも優れた性能を達成できることが示されました.

  • 辺 松, 新谷 道広, Zheng Wang, 廣本 正之, Anupam Chattopadhyay, 佐藤 高史:
    “命令セットアーキテクチャによる劣化抑止ゲート制御を用いたプロセッサNBTI劣化緩和手法”, 電子情報通信学会技術研究報告(VLSI設計技術研究会), 2015年3月.
  • 吉永 幹, 粟野 皓光, 廣本 正之, 佐藤 高史:
    “RTN起因のリングオシレータ発振周波数変動を利用したPUF”, 電子情報通信学会技術研究報告(VLSI設計技術研究会), 2015年3月.
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